こちらは、萩心の電話です。今週は、浄土宗常念寺がお話いたします。
小泉首相参拝については、国の内外で、賛否両論があります。とりわけ、中国からの反発は激しく、外交問題にまで発展しております。
そういった批判をかわそうと、政府関係者から、戦没者の為に、無宗教方式で国立のお墓を建てようという構想がだされました。
単純に考えると、これで総てが解決し,一件落着、めでたしめでたしということになりそうですが、問題はそう簡単ではなく、やはり、賛否両論、いろいろ出て参ります。
私共宗教に係わる者からすれば、「無宗教」という表現に少しばかり違和感を覚えます。
無宗教が文字どおり、宗教ではないという意味ならば、死者に向かって礼拝するという行いは一体何なのでしょうか。
霊の祟りがないように、それを鎮めようとする呪術なのか、死者への礼儀を示す道徳か、単なるお芝居か、それとも国民感情を意識しての政治的パフォーマンスなのでしょうか。
どれをとってもなんだか変だなという気がいたします。だからといって、無宗教を無宗派という意味だとしても、すっきりいたしません。
仏教でも神道でもない、勿論、キリスト教でもイスラム教でもないのですから、一体何教なのでしょうか。
どういう宗教的信念に基づいて、どういう態度で戦没者と向きあおうとしているのでしょうか。
考えようによっては、素朴な原始宗教といえなくもありませんが、政府が創り出す、訳の分からない宗教,大袈裟にいえば、総理大臣を教祖とする新興宗教を国民に押しつけることになり、憲法でいう政教分離の原則に反します。
いずれにしても、この構想には、戦没者に対する思いやりはあまり無く、政治的臭いを感じます。遺族や国民から強い要望があるならまだしも、政府主導で、国民の税金を使ってまで、わざわざ建てるほどの施設ではないと思うのですが、皆様方はどうお考えでしょうか。
来週月曜日より 真言宗 弘法寺様のお話に変わります。