こちらは萩心の電話です。今週は曹洞宗 梅岳寺がお話しします。
最近のマスコミの報道では、家庭内で起こる事件が多いような気がしてなりません。それは何故でしょうか。豊かさの中で何かが欠けているのではないでしょうか。それは一体何でしょうか。
たしかに昔から家庭内のいざこざや、トラブルはあったでしょう。しかし、昨今のニュースを見聞すると、抵抗力のない子どもや老いた親を長期間に渡り暴力をふるったり、食事を与えなかったり、また最悪の場合は殺してしまったりするという事件が多々あります。
このような事件の要因のひとつは、弱者に対する行為が、自らの欲求不満の解消の手段となっていることです。
自分の思い通りにならないからと、自分の感情を弱い立場の者に向けてその不満を晴らす。その瞬間はすっきりするかもしれませんが、きっとむなしさと激しい後悔に苛まれると思います。しかし、しばらくするとまた同じ行為を繰り返してしまう。
このような事件の根本には「自分だけ良ければいい」という考えがあるのではないでしょうか。人は一人では人間らしい生き方は出来ません。多くの人々や自然に支えられて生きているのです。
人付き合いがうまく出来ない、仕事がうまくいかない、失業したなど自分の思い通りにならないと、自分が悪いのではなく、他人の責任にしてしまいがちではないでしょうか。
しかし、生きていれば大なり小なり誰でも経験することなのです。自分の足元をしっかり見て、反省し、それでも自分が正しいと思ったら、人に害を与えるのではなく、そのエネルギーを誰かの役に立つように使ったり、また仕事などにぶつけてみてはいかがでしょうか。
家族は、家族だからこそわがままも言い合えるのです。それが高じて事件になっては困りますが、言いたいことをお互い言い合って、激論してもさっぱりした人間関係を作りたいものです。
大きな事件でも些細な出来事から発することが多いものです。事が大きくなる前に良く話し合い、理解し合うことが大切です。他人の立場を尊重し、お互いを正しく認識する度量をもちたいものです。
来週月曜日より。真宗 明安寺様に代わります