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      申年(さるどし)の大水

曹洞宗・海潮寺副・木村延崇


 毎年7月7日頃になると「小暑」を迎え、いよいよ梅雨明け間近となります。

 しかし近年は梅雨とはいっても、甚大な災害をもたらす大雨が毎年のように起きています。

 萩は日本海に面した三角州の中に市街地があり、江戸開府以来、大雨の度に河川が氾濫し、萩城下は何度も洪水に見舞われてきました。

 昭和50年に県内最大の「阿武川ダム」が完成し、今では水害がない穏やかな町になっています。

 しかし180年前、天保7(1836)年6月12日に、連日の大雨により河川が氾濫。

 流域の家屋はもちろん、田畑・家畜まで流失する大洪水が発生し、200名もの人びとが溺死した「申年の大水」と呼ばれる未曾有の大水害が発生しました。

 萩市街地から河川に沿って上流へ車で10分ほど走ると、「霧口(きりぐち)」と呼ばれる集落があります。

 その堤防から少し離れた農道脇に、ひっそりと建てられる慰霊碑には「三界万霊等・享保七丙申六月十二日・洪水当村溺死十二人・施餓鬼供養縁」と刻銘。

 萩城下から離れたこの地でも堤防が決壊し、地元の方が亡くなられたことが偲ばれます。

 今年の新暦では7月15日がちょうど水害が発生した日にあたり、有志の方々が慰霊祭を執り行うことになりました。

 私ども萩市仏教会も馳せ参じ、被災された御霊をご供養し、あわせて、市民がこれからも安穏・無事な生活を送ることができるようにお祈りいたします。

 慰霊祭主催者では、地元萩でも想像を絶するような大水害があったことにも思いをいたし、日頃の災害への危機意識を再認識していただきたいと、祈念されておられます。


 「申年の大水180周年慰霊祭」  平成28年7月15日(金)10時30分より 萩市霧口樋の口 慰霊碑前 ←ストリートビュー https://goo.gl/maps/nMity3mpsNn←Googleマップ