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          ポラリス

浄土真宗・光源寺副・三上照文


 去年、韓国のドラマ『冬のソナタ』がブームになりました。

 私も年末何回かこのドラマをテレビで見ました。

 そのある一場面の話です。

 ヒロインのユジンが、夜、山で道に迷ってしまいます。

 彼女は暗い山の中で不安と恐怖にうずくまり、泣き出してしまいます。

 しかし、主人公のチュンサンが彼女を探して、見つけ出すのです。

 二人は夜の山を歩いて帰ります。

 その時、チュンサンが、「これからは道に迷ったら、まずポラリスを探すんだ」とユジンに話をするのです。

 このポラリスというのは北極星のことです。

 他の星は位置が変わっても、北極星だけはいつも同じ位置で輝いています。

 『冬のソナタ』では、ポラリスが二人の変わらぬ愛を象徴するものとして描かれています。

 ところで、仏教は人間世界を六道輪廻の中の一つであると説いています。

 六道とは迷いの世界のことです。

 つまり、私たち人間は迷いの世界を生きているのです。

 なぜなら、私たちには煩悩があります。

 ですから、人に対して怒ったり、愚痴を言ってみたり、人と比べてうぬぼれたり、自分を卑下してみたりします。

 そして、欲の尽きることはありません。

 この私の中に地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上といった六道のすべての迷いが内在していると言ってもいいと思います。

 「道に迷ったらポラリスを探すんだ」とチュンサンは言いました。

 では、迷いを生きる私にとってのポラリスとは何でしょう?

 変わることなく私を支え、導いてくれるものは何でしょう。

 本当にたよりとなるものは、私の身勝手な欲望ではなく、阿弥陀様の私への願い、大慈悲心です。

 そして、その願いによって支えられ、導かれてゆくのがお念仏の生活です。




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