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          お香

曹洞宗・広厳寺・三好克典


家の仏壇やお悔やみ行かれた時は、誰もが仏前に向かい、お香を薫じるか、線香を立て、合掌し拝まれます。

このお香ですが、ここ最近、香りがゆとり生活手段の一部として見直され、又アロマテラピーなどの影響もあり、香りでやすらぎを求める志向に乗じて、様々な種類のお香、或いは香りがあります。

先日お勤め中、ふと線香の箱を見るとその箱には、「煙、香りをおさえマイナスイオンを発し消臭効果がある線香」と書いてある線香がありました。

香りを抑えたうえに、匂いを消す線香は線香と言えるのかな?と少し疑問に思いながらお勤めを済ませました。

古代の人々は、良い線香は生きている者ばかりでなく、死者や神にも好まれるものだと考え、儀式には良い香りの煙を発する香木や、芳香樹脂を炊いたと言われています。又、お香は、インドにおいては古来から臭気を防ぎ、心身を爽快にするものとして、生活の必需品でした。

仏教ではお香を「仏様のお使い」や「仏様のお食事」とも言われていますが、その香りは、供える人の身体と心を清めてくれるものです。

「華厳経」に、お香の十徳がこう示されています。

@精気を増益する A身体を芳潔にする B身体を温涼する C寿命を延ばす D顔色をひきたてる 

E精神を爽快にする F耳や目を鋭くする G健康にする H媚態と愛嬌をます I品位を高める 

とあります

この様に多くの功徳がお香にはあります。したがって仏前においては、最近のブームに乗り、変わったお香で拝むのではなく、お香の十徳が供えた本人に
染み渡るような、心地の良い香りのお香を選び、仏様、ご先祖様に心を込めて供え、そして、自ら心身を清めていきたいものです。

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