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 涅槃会

浄土宗・常念寺・野花祥生


 今週の2月15日は、お釈迦様が亡くなられた日とされ、涅槃会という法要が行われます。

 仏として悟りを開かれてから長く伝道の旅を続けておられたお釈迦様ですが、80歳のときにインドのクシナガラという土地の、サーラという木が2本並んでいる間に、横たわって涅槃に入られました。

 涅槃とはお釈迦様が亡くなったという意味と、煩悩の炎が吹き消された状態という両方に用います。

 お釈迦様が涅槃に入られたときには、サーラの花が突然満開になって、お釈迦様に降り注ぎました。

 「平家物語」の冒頭に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」にある、沙羅双樹とは、この一対のサーラの樹のことです。

 その様子を描いた涅槃図という絵があり、涅槃会の法要にはこの涅槃図を掲げます。

 沙羅双樹の間に横たわったお釈迦様の周りには、大勢のお弟子様たちだけでなく、多くの菩薩様や動物までもが集まっている様子が描かれています。

 またお釈迦様が亡くなられるまでの最後の旅の様子が、『大般涅槃経』という経典に説かれています。

 弟子と共に各地で教えを説いて歩き、クシナガラで涅槃に入り、その後火葬にされて遺骨である仏舎利が、インド各地に分配されておまつりされるようになるまでが説かれています。

 中村元さんの『ブッダ最後の旅』という本が岩波文庫から出ていて、「大般涅槃経」を分かりやすく訳されているので手軽に読むことができます。

 お釈迦様が涅槃に入られる直前に、弟子に言い残された最後の言葉があります。

 『ブッダ最後の旅』では、「もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成させなさい」と記されています。

 お釈迦様自身も沙羅双樹の下でお亡くなりになられたように、あらゆるものは変化しやがては過ぎ去っていくものものです。

 涅槃会はお釈迦さまの御遺徳をしのぶだけでなく、あらゆるものは過ぎ去ってしまうものであっても、仏道の修行や自らの目標に向かって怠ることなく励みなさいというお釈迦様の最後の教えを改めて思い起こす機会ではないかと思います。




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