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    無償の導き

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 新緑が目を楽しませてくれるこの季節、如何お過ごしでしょうか?

 先日、平素からお世話になっているお寺様から依頼があり、法要のお手伝いに行って参りました。

 休憩時間の折、そのお寺のご住職から、「面白いコラムを見つけたんだけど、読んでみて。」と、A4サイズ一枚分のコピーを手渡されました。

 平成26年5月11日付の「日本経済新聞」朝刊での「春秋」というコラムです。

 言われたとおりに、早速目を通していくや否や、思わず唸らされてしまいました。

 以下、抜粋にてご紹介いたします。


 「職種は『現場総監督』です。原則1日24時間の勤務。年間365日、休暇はありません。食事をとる時間はありますが、

 他の同僚が食べ終わってからです。徹夜で働く場合もあります。サラリー? 無給です。世界で一番大事な仕事ですよ。

 やってみる気はありますか。」

 「こんな就活(就職活動)の面接に、応募者たちの顔が見る見る硬くなっていく。いまどき、これほどひどい会社があるのだろうか。

 それとも何かの冗談だろうか。 〜 中 略 〜 

 面接官は自信たっぷりで語り続ける。世界で何億人もの人がこの仕事に就いているという。

 『母』という職業である。  〜 以下 略 〜 」


 読んで、成程、と思いました。

 実はこのコラムは「母の日」に寄せて書かれたものでありますので、「母」がテーマとなっていますが、しっかり内容を味わっていきますと、必ずしも「母」に限定されるものではないということに気づきます。

 同様に、私たちの日常においても「無給であっても、決して欠かせない大切なつとめ」というものが数多くあるのではないでしょうか。

 お経の中にも、「衆生は仏の大恩を知らずと雖も、仏は衆生を忘れ給う時なし」というお示しがあります。

 私たちは時として、仏や先祖の大いなるご恩を忘れてしまう時があるかもしれませんが、仏やご先祖は、見返りを求めることなく、1日24時間、常に私たちを想い、見守り、導いて下さっているのです。




音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。