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    「九州西国観音霊場」巡拝に寄せて

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 先日、日本最古と呼ばれる「九州西国観音霊場」の巡拝に参加して参りました。

 福岡県、大分県、熊本県、長崎県、佐賀県にまたがり、33ヶ所の霊場を巡るこの観音霊場は、今から約1300年前の和銅6年(713)に、大分県宇佐の仁聞菩薩(にんもん ぼさつ)と法蓮上人(ほうれん しょうにん)によって開創され、あの種田山頭火も旅をされたそうです。

 各霊場においてお祀りされている観音さまは、千手観音、千手千面観音、聖観音、十一面観音、馬頭観音、子安観音など、多岐にわたり、それぞれの御尊前において、皆で、般若心経と霊場の御詠歌を唱えて参拝いたします。

 今回の巡拝は、曹洞宗寺院の住職7名、檀信徒の参加者18名の計25名にて、33ヶ所の内の12ヶ所をバスで移動しながら、2泊3日の行程で巡って参りました。

 巡拝中は、バスを降りた目の前がお寺で、楽にお参りできる場合もあれば、1q近くの上り坂を歩いて登ったり、或いは数多くの石段を息を切らしながら登ったりと、「苦」と「楽」の連続です。

 また、眼下に町並みや海を望む、とても見晴らしの良い場所のお寺や、逆に、「こんな所にお寺があるの?」といったような、山の中腹で、周りからは見えない場所のお寺など、お参りする条件も環境も様々でしたが、歴史の奥深さを感じながら、全員事故なく、3日間12ヶ所の行程を終えました。

 参加者の中には、ご高齢の方も多くおられ、道中は決して楽ではなかったでしょうが、1ヶ所1ヶ所、お互いに励まし合いながら、一生懸命にお経と御詠歌を唱えたり、手を合わせて、ひたすらに観音さまを拝まれる姿はとても有難いものでした。

 恐らく皆さんの中には、「ここをお参りしたらこういう良い事があるはずだ」というような損得勘定の気持ちは、一切なかったに違いありません。

 とかく、私たちは「信仰」といえば、それによる「御利益」や「見返り」を求めがちですが、そこから遠く離れてこそ、本当の「信仰」がある・・・。

 皆さんの姿を見て、そんなことを強く感じさせられた、とても良い旅でした。




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