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          戒を守り、戒を犯したら懺悔する
黄檗宗・東光寺・尾河哲彦


こちらは萩心の電話でです。今週は黄檗宗東光寺がお話します。

世の中には道徳とか倫理と言われるものがあり、一方で法律と言うものがあります。

法律は倫理的最大限であり、かつまた、倫理的最小限であると考えられています。つまり、一般的な道徳や倫理の中で、どうしても守らなければならない最小限を、強制力を持った法律で規定し、道徳・倫理に、最大限に効果を発揮するというものです。

したがって刑法には「人を殺してはいけません。」とは書いてありません。「人を殺したる者は、死刑もしくは無期懲役」と書いてあります。

我々仏教の世界には「戒」というものがあります。これは、まさに「人を殺してはいけない」とか「盗んではいけない」とはっきり規定しています。

そしてこの「戒」を持って生活する事(これを仏教では持戒と言います)が、仏教徒としての実践となります。

ここには、法律と違って、罰則規定があるわけではなく、戒を犯した者は自覚して、懺悔をすることが重要となります。つまり、仏に対し、悔やんで自ら告白することです。

この事が無いと、誰からも罰せられなくとも、自業自得で、自らがその報いを受けることになるのです。これから、誰もが「法律さえ犯さなければ何をしても良い」という考えから脱却し、「戒を守り、戒を犯したら懺悔する」という考えに立てば、この厳しい今日を、より豊かに過ごして行けるのではないでしょうか。

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